morinos連携講座 『Basic Arborist Training-3A(BAT-3A)』アーボリスト3

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 樹上安全作業、リギング(Rigging)技術のためのBasic Arborist Training 3 A、通称BAT-3Aでは、高度なヘビーリギングの実践(TECHNICAL HIGH ANGLE AND HEAVY RIGGING)を学びます。

 本講座は、既にBAT-2を受講済み、かつ、チェンソーによる伐木等特別教育の受講者だけが対象で、メイン講師はATIの近藤トレーナー、アシスタントは下西さん、山﨑さん、森林文化アカデミー生の小野さんです。
 まずは参加者が持参したギアを確認するギアインスペクションから始まります。

参加者のギアをインスペクションする近藤トレーナー

参加者のギアをインスペクションする近藤トレーナー(右)

 近藤トレーナーがロープを確認する途中、手が止まりました。参加者のクライミングロープの中ほどにストランドのパフとストランドの切断を見つけたのです。

 このロープでのクライミングはおススメできないので、今後は切断して2本のロープとして使用することを進言されました。

ロープのパフとストランドの切断を確認する近藤トレーナー

ストランドのパフとストランドの切断を確認する近藤トレーナー

 続いて室内で、本日の講習内容と利用するリギング技術の確認です。

 ①ハイアングルおよびヘビーリギング衝撃荷重と静荷重、重力加速度の理解
 ②ロードの重さと大きさ、落下距離による衝撃荷重の計算
 ③強度適格なリギング用ギアの取捨選択
 ④リギングロープ、ブロック、フリクションデバイス
 ⑤コネクティングリンクス、スリング等 相互の相性
 ⑥ロープ径がより太い場合のリギングロープの取り扱いの注意点
 ⑦ヘビーリギング作業時に求められるグランドワーカーの配置・資質と役割
 ⑧各種のリフト手法の理解と実践訓練
 ⑨スピードラインおよび複数のリギングロープを駆使したより複雑なリギング   です。

 近藤トレーナーはロープのさばき方や安全なギア取り付け方、樹上作業者のポジショニングなどについても詳しく説明されました。

今日の講習内容確認する参加者

今日の講習内容を確認する参加者

 フィールドでのメイン活動は、吊り荷を移動させる(1)ロード・トランスファー と (2)スピードライン です。他に①フィッシングポールや②スパイダーバランサー、③リングtoリング・スリング、④フローティング・アンカー、⑤スパークライミングなどです。

 まずはロード・トランスファーを実践するためのサイト・インスペクションをし、次にリギングの作業計画をグループで話し合って決定します。ゾーニングはワーク・ゾーン、ドロッピング・ゾーン、セイフティ・ゾーンの3つです。

 安全作業のためのクライミングコース、リギングブロック取り付け位置、ポータラップ(Port-A-Wrap)の取り付け位置と取り付けるためのカウヒッチ&ベターハーフも話し合って作業し、システムを完成させていよいよ実践です。

グループAのロード・トランスファー風景

グループAのロード・トランスファー風景

グループBのロード・トランスファー風景

グループBのロード・トランスファー風景

 次にスピードラインの実践に利用するフィドルブロックの設定と操作方法を学びます。これを利用すると5倍力で引っ張ることができます。

フィドルブロックを実践する近藤トレーナー

フィドルブロックを実践する近藤トレーナー

 そして、スピードラインの設定です。どこにリギングブロックを取り付け、どこにスピードラインを設定するのかなど、リギングした切断枝のランディングポイントも含めて、作業環境全般を打ち合わせします。

 スピードラインとタグラインの使い方、ソフトシャックルの使い方、利点などの説明を受けながら設置していきます。どの場所にロワリングデバイス(Lowering Device:下降器具)を取り付け、どこにリギングブロックを取り付けるのか、計画した内容を実行していきます。

 考えることはいくつもあります。

 ①フィドルブロックを使う際のリギングプルージックの操作はどうするのか
 ②リギングラインとストラップやカラビナを利用したジップラインをどう張るのか
 ③ジップラインにスピードをコントロールするタグラインをどう組み合わせるのか
 ④切った枝をランディングポイントに誘導するタグラインの操作はどうするのか
 ⑤そもそもチェンソーの取り回しはどうするのか

などなど、考えると切りがありません。

スピードラインを操作する参加者

スピードラインを操作する参加者

 この後、場所を移動して、BAT-3Bで学ぶスパークライミングのデモンストレーションです。山﨑さんがスパークライミングするのを見ながら、近藤トレーナーが利点や注意点など解説されました。

スパークライミングを説明する近藤トレーナー

スパークライミングを説明する近藤トレーナー(左)

 次は、リギングでブロックを多用するフィッシングポールの説明です。ブロックを多用しロープの角度を変えることで、荷物によるアンカーへの負荷が減少します。ロープの角度が120°ならば1:1の負荷になります。では90°くらいならどれくらいになるのか考えながら、荷重分散について学びました。

フィッシングポールについて学ぶ参加者

フィッシングポールについて学ぶ参加者

 また、スピードラインを設置しようとした時、適当な位置にアンカーが無い場合は、フローティングアンカーをつくります。ここではポータラップ(Port-A-Wrap)2つ、ブロック1つでフローティングアンカーを作ってみました。 

 

フローティングアンカーについて説明する近藤トレーナー

フローティングアンカーについて説明する近藤トレーナー(右)

 最後は室内で本日の講習内容の復習と質問タイム。

 今まで十分理解できなかった点や知らなかったこと、すべてをクリアにしないと安全な作業に結び付きません。同じ講習を受けた仲間同士、忌憚のない意見を交わして交流し、1日を終えました。

室内での最終まとめをする近藤トレーナー

室内での最終まとめをする近藤トレーナー

 最後に、本日のBasic Arborist Training-3A参加者の記念写真です。

記念撮影

記念撮影

  講師の近藤トレーナー、アシスタントの下西さん、山﨑さん、そして森林文化アカデミーの小野さん、本当にありがとうございました。

 2月2日のTree Aerial Rescue and Safety Level-1も楽しみです。

 以上報告は、JIRIこと川尻秀樹でした。

 

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